宋元版禅籍の文献史的研究 全3巻 ≪2023年11月刊行開始!≫ 【呈内容見本】 【各巻内容】 収録内容は変更の可能性があります
<著者> 宋元禅宗研究必携の書 臨済宗妙心寺派宗務総長 野口善敬 語録などの「文献」は、論文を書くための材料に過ぎないと見くびっている人がいるかも知れない。だが、文献こそは論証の基盤であり、もしも使用する文献資料に瑕疵があれば、論理そのものが根底から崩壊してしまうことになりかねない。禅宗の研究に用いられる文献、特に宋代以降のものについては、『大日本続蔵経』などの活字本が、ともすれば無批判に用いられているが、底本の版本は不明なものも多い。また近年、研究者が使用しているネット上のデータベースも、ほとんどが活字本に拠っており、必ずしも正確な資料とは言えない。椎名先生が手掛けられた宋元版の禅籍資料についての研究は、文献史の重要性を示す金字塔であり、禅学研究者にとって禅籍文献を訪ねる重要な道標なのである。
椎名宏雄著『宋元版禅籍の文献史的研究』を推薦します 駒澤大学総長 永井政之 二〇世紀初頭における敦煌出土禅文献をめぐる研究が、中国初期禅宗のイメージを大きく塗りかえ、爾来、研究者に「文献研究」の重要さを再認識させるに至ったことは周知の事実である。一方、本邦における古典籍刊行をめぐっての研究を俯瞰すると、個別の研究のほか、川瀬一馬氏に代表される労作があるものの、所謂「禅籍」の分野については必ずしも十全とは言えない恨みがあった。その間隙を埋めるべく著者が、半生を費やし研究された成果を、『禅学典籍叢刊』全一三冊(柳田聖山先生と共著)、『五山版中国禅籍叢刊』全一二巻(いずれも臨川書店刊行)として世に問われたことは耳目に新しい。それらは一部の好事家等が収集した文化財的存在とも言いうる稀覯本を、研究者をはじめとする許多の人々に知らしめた画期的な業績である。今後、中国・日本の禅宗を研究するための基となることは疑いない。今般上梓の『宋元版禅籍の文献史的研究』は、両『叢刊』で扱った禅籍についての解題をはじめとして、長年の禅籍研究によって解明された異本の体系化、禅僧の伝記、思想など、多岐にわたる諸論考を網羅している。まさしく両『叢刊』とともに「椎名禅学」の集大成と言ってよい。斯学研究者必携の書であり、江湖に推薦させていただく由縁である。 |